2016年02月18日
物理現象としての「ダイヤモンドの輝き」
みなさんはダイヤモンドの「原石」をご覧になったことがありますか?宝飾品に加工されるサイズの原石の場合には、それほどきれいでもなく輝いてもいません。曇ったような、それでいてやたらと硬い鉱物です。そのため研磨技術の発達していない時代ではダイヤモンドはあまり高評価を受けず、ルビーやサファイヤの方が珍重されていたと聞きます。
これが熟練の職人(ダイヤモンドカッター)の手にかかると、おなじみのあのキラキラと光る「宝石」になるのです。つまり研磨技術とデザイン(カットプロポーション)で「ダイヤモンドの輝き」の大部分が決まります。それらに加えて宝石の内包物(インクルージョン)による光の散乱や、「カラー」や「ファイヤ」に相当する光学的な吸収や波長分散も「輝き」に影響します。
つまり「悠久の時間をかけて自然界の中で偶然できあがった(手に取れるくらいに大きなサイズの)炭素の単結晶」、プラス「人の手が磨き上げたデザイン(原石のどこをどう削るか?)」が「ダイヤモンドの輝き」を決めます。
ですがこの「輝き」をすべて人為的に決めたり、同じ「輝き」を再現することは非常に難しいのは言うまでもありません。ほとんど炭素原子からできている「単結晶」ですので、結晶面によって、硬い・柔らかい・脆いなど物性の差が大きく、「削りやすい面」vs.「削りにくい面」が存在します。とても硬い材質なのでカッターの思い通りの面(ファセット)が削り出せるものではないですし、加工の過程で思わぬところが欠けたり割れたりすることもあります。もちろん内部の光学的な構造を制御することはほとんど不可能です。
カットデザインとしてのプロポーション設計は重要ですが、人為的な加工や制御が難しかったり及ばない部分があります。そこに人間の手(カット)が加わった結果が「ダイヤモンドの輝き」なのです。そんな「宝石としてのダイヤモンド」の輝き方や、「人間の眼に見える輝き」について、科学として考えてみたいと思います。そこから従来とは違った視点からの評価法が提案できるかもしれません。
posted by アウロラダイヤモンド at 13:26| Comment(0)
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